嗅覚障害
診療時間 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
09:00-12:00 | ● | ● | ● | ■ | ● | ● | ★ |
13:30-15:00 | ■ | ■ | ■ | / | ■ | / | / |
15:30-18:30 | ● | ● | ● | / | ● | / | / |
診療時間 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
09:00-12:00 | ● | ● | ● | ■ | ● | ● | ★ |
13:30-15:30 | ■ | ■ | ■ | / | ■ | / | / |
16:30-19:30 | ● | ● | ● | / | ● | / | / |
嗅覚障害
エッセンス
当院では局所麻酔での日帰り手術を受けていただけます。
いつも感じていたにおいがしない、いつもと違うにおいがするといった症状で気づかれます。原因となるものが何かによって、急に始まるもの、徐々ににおいがうすくなるもの、また程度も軽いものから、嗅覚脱失といって完全になくなるものまでさまざまです。
においが減弱すると、味覚も関連して低下してしまい、日常生活で困るシーンが多くなったという訴えをよく伺います。
においは嗅上皮の上にある嗅細胞に届いたあと、神経を通じて脳(中枢)まで伝わって認識されています。嗅細胞はある1種類のにおい物質を感じるようになっており、においの中に含まれる様々な成分がいくつかの嗅細胞を刺激します。その刺激された細胞の組み合わせでどのようなにおいとして感じるかが決定されます。
嗅覚障害は、においを感じる経路のどこで障害がおこっているかによって3つのタイプに分類されています。どのタイプにあてはまるかで、改善する見込みが変わってきます。発症のきっかけや検査結果から分類していきます。
①気導性嗅覚障害
②嗅神経性嗅覚障害
③中枢性嗅覚障害
①気導性嗅覚障害
アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎、鼻中隔弯曲症などが原因となって、においが嗅粘膜に届くルートがブロックされることによっておこるものです。
②嗅神経性嗅覚障害
嗅粘膜に分布している嗅細胞や嗅神経自体が感冒などのウイルス感染症や薬剤の影響などによりダメージをうけると、においを感じにくくなります。また、転倒などで頭部を打った際に嗅神経の末端(嗅糸)が断裂してしまうものがあります。
③中枢性嗅覚障害
頭を強く打つような事故などで脳挫傷や脳出血をおこしてしまった後、または脳の病気(脳腫瘍,脳出血,脳梗塞)などが原因となった嗅覚障害です。パーキンソン病やアルツハイマー型認知症などの神経変性疾患にも嗅覚障害が合併することが知られています。
約半数が鼻炎や副鼻腔炎が原因の気導性嗅覚障害で、約1/4の方が感冒後におこる嗅神経性嗅覚障害の方です。その他、15%程度の方が原因不明といわれています。
①嗅覚検査
嗅覚障害の診断以外に、鼻の手術前後でもにおいの改善を調べるために行います。
・においスティック
12種類のにおいの同定を行う検査です。ろ紙にスティック状のにおいのもとを擦り付けて、どのにおいに近いと感じるかアンケートを行います。
・基準嗅力検査(T&Tオルファクトメトリー)
5種類のにおいが濃度別に8段階に分けられ、薄いにおいからはじめてにおいが分かるまで嗅いでいきます。わかった時点の濃度の平均値で嗅覚障害の程度を判定する検査です。こちらは当院では嗅覚検査室を備えていないので、現在は行っていません。
②静脈性嗅覚検査(アリナミンテスト)
肘の静脈から薬剤を注射し、その注射薬が持つにおいが静脈から肺を通って吐く息の中に含まれ、それを鼻の後ろから感じるかどうかを調べる検査です。潜時(感じ始めるまでの時間)と持続時間(感じ続ける時間)を測定し、基準値を下回ると嗅覚障害の診断となります。普段は全くにおいがわからないとおっしゃる方でも、この検査で反応があった場合には嗅神経はまだ残っている見込みがあります。逆に、鼻の中に何も異常所見がなく、この検査でにおいを感じない方は、においを感じる経路のどこかが高度に障害されている嗅覚脱失と診断されます。
③副鼻腔CT検査
副鼻腔炎や鼻中隔弯曲症があるか、嗅裂という嗅粘膜が分布する場所の形がおかしくないかなどを調べるために行います。特に好酸球性副鼻腔炎では嗅上皮が存在する嗅裂にポリープができやすいため、嗅覚障害が頻発します。(好酸球性副鼻腔炎についてはコチラ)
④鼻咽腔内視鏡検査
実際に鼻の中を電子内視鏡(ファイバースコープ)で観察し、嗅粘膜の状態を確認します。
⑤血液検査
アレルギーの有無を調べます(アレルギー検査についてはコチラ)。その他、血液中の鉄や亜鉛の濃度などを調べるために行います。
どのタイプの嗅覚障害かによって治療方法が変わるため、適切な診断が重量となります。
代表的なものとして鼻炎や副鼻腔炎の場合と、かぜのあとの嗅覚障害についての治療は以下となります。
鼻中隔弯曲症やアレルギー性鼻炎で鼻の通りが狭くなっている場合や慢性副鼻腔炎が原因でポリープや鼻の粘膜の腫れで狭くなっている場合・・・点鼻薬、内服薬の処方に加え、セルフケアで鼻洗浄を行っていただき、おおもとの病気を改善することで嗅覚障害の改善もねらいます。ただ治療効果が無い場合は手術による治療をお勧めします。これでにおいを感じる部分までしっかりと吸気を届けることでにおいを感じるようになります。ただ、副鼻腔炎が長期にわたっている場合は、嗅神経が不可逆性のダメージを負っていて改善する確率が低くなってしまいます。
かぜの後の嗅覚障害(感冒後嗅覚障害)・・・一時的で他の嗅覚障害にくらべて治りやすいとされています。漢方薬、ビタミン剤の内服などが一般的で、当院でもまずこの治療を行います。あわせて嗅覚刺激療法というリハビリテーションも指導します。治りやすいといっても数年かけて徐々に治っていくこともある病気なので最初は効果が実感できないかもしれませんが、前向きにリハビリを続けていくのも重要です。残念ながら中枢性の嗅覚障害に対しては、現在のところ有効な治療はなく改善率も非常に低くなっています。