副鼻腔炎(蓄のう症)
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副鼻腔炎(蓄のう症)
エッセンス
歯性上顎洞炎・副鼻腔真菌症に対して日帰り局所麻酔での手術を受けていただけます。
鼻腔(鼻の中)の外側には「副鼻腔」と呼ばれる粘膜に覆われた空洞があり、非常に小さい穴で鼻腔と交通しています。上顎洞(頬の下の空洞)、篩骨洞(目と鼻の間の空洞)、前頭洞(おでこの空洞)、蝶形骨洞(一番奥の脳に近い部分の空洞)の4つがあります。この副鼻腔に炎症が起こるのが副鼻腔炎です。風邪やアレルギー性鼻炎などが原因で、鼻の粘膜に炎症が生じて粘膜が腫れてしまいます。すると副鼻腔の換気口が閉塞してしまい、中に粘液がたまって感染し、副鼻腔炎が起こります。このような状態を「急性副鼻腔炎」と呼び、通常は1~2週間程度で治りますが、放置して長引くと「慢性副鼻腔炎」になってしまう恐れがあり、慢性副鼻腔炎になると治療に時間を要することになります。
慢性副鼻腔炎の中には、無症状で、偶然頭のCTやMRIを撮影した際に指摘されて受診されることもあります。多くは昔の副鼻腔炎の名残で粘膜が腫れているだけで、治療は特に不要なのですが、奥歯や親知らずの炎症が拡大した「歯性上顎洞炎」や、アスペルギルスなどのカビが繁殖した状態である「副鼻腔真菌症」の場合は、治療が必要です。子どもはカゼのなおる過程で黄色の鼻になる副鼻腔炎を経て治っていくことが普通です。鼻吸いや鼻洗浄などセルフケアで治すことも可能ですが、長引く場合は慢性副鼻腔炎に準じて治療を行います。
主にカゼなどのウイルス・細菌の感染が原因で鼻の粘膜に炎症が生じて腫れあがり、副鼻腔の換気口がつまることでたまった粘液に感染して副鼻腔に炎症が生じます。急性副鼻腔炎では、発熱や痛みが出ている場合は抗生物質を用いて細菌感染を押さえます。軽症の場合やカゼのなおりかけの時は鼻吸引や鼻洗浄のセルフケアで自然治癒が見込めます。
炎症が長引くと副鼻腔内を覆っている粘膜自体がポリープ状に変性して、副鼻腔の換気口が完全に閉塞してしまいます。そのため感染した膿がたまったままになると、慢性副鼻腔炎(ちくのう症)の状態に陥る可能性があります。喘息が関与することが多い「好酸球性副鼻腔炎」は、篩骨洞や嗅裂にポリープができやすく、においが障害される嗅覚障害をきたしやすい指定難病です。これはType2炎症といって他の感染性の副鼻腔炎とはでき方がことなり、全く別の治療が必要です。
急性副鼻腔炎の場合は膿が混ざった青っぽいあるいは黄色の鼻汁がよく見られ、慢性期には粘り気のある白っぽい鼻水が多く見られるようになります。4つある副鼻腔のどこに炎症がおよんでいるかによって、頬の痛み、目の際の痛み、おでこの痛みが生じ、副鼻腔がいずれも炎症がある状態になる「汎副鼻腔炎」では、頭が全体に重かったり強い頭痛となります。
鼻汁が出ることに加え、鼻汁が喉の方に流れることで、長引く咳や痰の原因になったり、気管支炎や咽喉頭炎を発症することがあります。鼻腔や副鼻腔の粘膜が腫れて鼻茸(鼻ポリープ)を作ると、空気の通り道が狭くなると鼻づまりが起こり、それによって集中力の低下や、睡眠障害を引き起こす可能性も出てきます。その他にも嗅裂部と呼ばれる匂いを感じる部分の粘膜が、腫れたり炎症を起こしたりすると嗅覚障害が起こります。
鼻鏡や鼻咽腔ファイバースコープで膿がでているかを確認します。慢性副鼻腔炎では、鼻腔形態やポリープの有無などを確認します。当院では低被爆のコーンビームCTを用いた画像診断を行い、病変の部位や炎症の程度、骨構造などをチェックします。
鼻づまりの程度を診断するためには、鼻の通りやすさを客観的に評価できる鼻腔通気度検査を行います。歯性上顎洞炎や副鼻腔真菌症では片側だけにできる場合も多く、念のためMRIで腫瘍でないことを確認することが推奨されます。
急性副鼻腔炎の治療には、抗菌薬を使用します。通常、1-2週間程度服用を続ければ完治しますが、一度強い炎症をおこした粘膜はなかなか腫れがもどらず症状が続く場合があります。完治せず症状が3カ月以上続く場合は、慢性副鼻腔炎と診断されます。慢性副鼻腔炎になると、マクロライド系の抗菌薬を少量ずつ飲み続ける治療などを行います。この治療は、細菌を殺す作用のほかに、粘膜の炎症を抑える作用があるといわれ、細気管支炎や副鼻腔気管支症候群など肺の治療にも有効です。合わせて、線毛による排出機能を高めるために去痰剤を使用します。その他の治療法としては、鼻の中を洗って膿を出し、できるだけ膿を残さないようにする「鼻洗浄」も非常に有効ですので、外来受診の際は指導させていただいています。
それでも改善されない場合には、副鼻腔の詰まっている部分を広げて、中の膿を吸い出す手術を行います。
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